哲学思考トレーニング (ちくま新書 (545))

はじめに

自分の思考力の弱さをなんとか強化していきたいなと考えていたころに出会ったのがこの本。
決め手になったのが、Amazonのレビューで書かれたこの一言。

これ一冊を読みこめば,日常的に接する問題のほとんどについて,かなり適切に対処できるようになると思う。

そんな銀の弾丸的なことが書かれているなら、是非読みたいと思った。

クリティカルシンキング

本書では、

物事を出来るだけ筋が通っているように思考すること

だと説明している。

そんなこと当たり前じゃんと思うかもしれないが、なかなかどうして自分の考えが筋が通っていないことって結構ある。
他人に指摘されると「確かに」と思うのだが、時と場合によっては自己否定された気分になることもあり、素直に受け入れられなかったりする。
人間って難しい。

自分の意見やアイデアを構築する際にも、はたまた他人の意見やアイデアを吟味する際にも、クリティカル・シンキングは有効ということなんだろう。
確かに日々判断することの連続ではあるので、「筋の通った思考」が身についていると「日常的に接する問題のほとんどについて適切に対処できるようになる」といえるのかもしれない。

クリティカル・シンキングが、ビジネスだけでなく日常的に使えるスキルだということが分かったのは、個人的には大きな収穫だった。

議論を構成する3つの要素

この本を読んですぐに自分の中に変化が現れたのは、議論を構成する3つの要素を意識するようになったことだ。

議論を構成する3つの要素とは、以下を指す。

  • 主な主張(結論)
  • 理由となる主張(前提)
  • 前提と結論のつながり(推論)

特に結論が良くわからない時は、前提としていることは何か、そこから結論はどうやって導かれているのかということを、意識して明確化するだけで、自分たちがいま何について話しているのかというのが、明瞭になってくるから面白い。
こうやって文章にすると当たり前のことなのだが、実際にやってみると着実に議論が前に進むようになるので不思議。
普段から無意識にやっていることを、意識的かつ再現性のある道具として扱えるようになるのは、大事なことだなと思った。

論理的思考

本書では度々「論理」または「論理的」という言葉が出てくる。
どうやら、クリティカル・シンキングには、論理的思考が大切らしい。
多分、今まで学んできた国語というのは教科は、そういったことを学べるものだったと思うのだが、「論理的思考を学ぶ」という動機づけが全くされないまま学んできたので、自分の中で体系立った知識が構築されていない。
ということで、論理的考えたり文章を書いたりするということはどういうことなのかということを、今後は学んでいかないとと思った。
んー、先は長いが、そこが何を学ぶにしろ基礎となる部分なので、めちゃくちゃ大事だ。

反証可能性

反証可能とは大雑把にいうと、データと付き合わせることでその仮説が放棄されることがありうる、ということを意味する

反証可能な仮説を立てることが、科学的な仮説だという根拠になるし、科学的な仮説は、クリティカル・シンキングをする上で信頼できるものの1つということらしい。
科学的かどうかという話は、自分とはあまり関係のない話のように感じていたが、反証するという行為は比較的身近なものだし、日常的にも頻繁に遭遇するように感じる。
そう考えると、意識して反証するクセを付けておくことは大事なことなのかなと思った。
他人の意見にひたすら反証を試みてばかりいると、嫌な人間に見られそうではあるけど。

通訳不可能性

通訳不可能性とは、二つのグループがまったく違う世界観で世界を見るために基本的な出来事でさえも違って見え、そのために話が通じなくなるという状態を指す

例でストーカーと被害者の話が出ていたが、このような事柄も言葉として定義されていることに驚いた。
難しい言葉だけども、これも日常的に頻発することなので、とても面白い。
知ることが出来てよかった。

哲学の入り口

哲学に今まで全く触れてこなかったし、今後もそんなに濃密に触れていこうという気はまったくないのだが、デカルトやヒューム、ピュロンといったエッジの効いた人達の考えに触れることが出来たのは面白かった。
世の中には頭の良い人たちがたくさんいて、その人達の考えていることをなぞらえていくことで、色々学びがあるとも思えた。
本格的に学んでいきたいとは到底思えないが、興味を持つことが出来たのは良かったかなと思う。

おわりに

残念ながら、ざーっと読んで心に残ったのはこの程度だ。
今の自分には、この本の全貌を理解できる素養がないことがわかったので、まずは論理とクリティカル・シンキングについてちょっとずつ学んでいけたらなと思う。

この本は色んな分野を学ぶ良いナビゲーターになってくれるような本だと思う。
いくつかの本を読み終えてから、またこの本を読み返してみたい。