内部統制とは、こういうことだったのか―会社法と金融商品取引法が求めるもの

はじめに

なぜ内部統制をやらないといけないのかということを、色んな人から説明を受けたりネット上の情報を掻い摘んでみても、あまり腑に落ちなかった。
内部統制を強いられることで、会社独自のユニークな文化や個性が無くなってしまうのではないか?とも感じた。
そんな状態を打破するべく、そもそも内部統制とは何なのかという基本的なことが説明しているような本を探していて、見つけたのがこの本だった。

関連する主な法律

内部統制に関する法律は大きく分けて2つある。
会社法金融商品取引法
そもそも法律が違うということは、存在する目的も異なるわけで、この2つの法律の中で求められている統制というのが異なるっていうのが肝。
そして、なぜ内部統制をしなくちゃいけないかという問いの答えは、まずは法律で決まっているからということで前に進める気がする。

この本では、法律の事細かに説明はしていないが、目的は丁寧に説明してくれているので、自分のような初心者にはとても助かる。

法律で決まっているから守らないといけないということであれば、最終的には法律でどのような内容が書かれているかという話になると思うので、弁護士さんが説明してくれているのも、理にかなっているように思えた。

内部統制の3つの目的

基本的に以下の3つを達成することが大事ということらしい。

  • 業務の有効性・効率性
  • コンプライアンス
  • 財務報告書の信頼性

厳密には、COSO報告書というもので挙げられていたものらしいが、この「3つの目的を達成すること=内部統制」という認識で大きく間違ってはいなさそう。

業務の有効性・効率性

内部統制を実施するには、コストがとてもかかる。
どこまでやるべきなのかというのは、個人的にとても気になる関心事の1つだった。

業務の有効性・効率性とは、企業の有限な経営資源をいかに効率的に配分して、業務を行うかという概念です。

内部統制にかかるコストも例に漏れず業務の一環だと思うので、「業務の有効性・効率性」を犠牲にしてまでやるべきではないというロジックは、ある程度成立すると思われる。
ただ、全てがこのロジックが適用できると思えないので、そのあたりはなんだか難しそう。

コンプライアンス

法律を守らないというのは、業務の有効性とか効率化とかという以前の問題という感じ。
当たり前だけど、「ルールを守らざるものはこの場から去れ」ということらしい。
なので、コンプライアンスを守るためのルールは、硬めになるのは致し方ないっぽい。

まあ、犯罪者は普通の活動は出来ないですよというのは納得できる。

財務報告書の信頼性

会計学では「重要性の原則」というものがあるらしい。

目的と手段の均衡とも言いますが、要するに目的達成に必要な限度でやればいいのです。

たとえば決算報告書などの金額が1万円間違っていたとしても、それが全体の金額からすれば微々たるもので、投資家など利害関係者への影響がほとんどないのであれば、咎められないという話らしい。
重要性の原則というのを上手に使うことが出来れば、ある程度柔軟なルール作りが出来るのでは?とも思えた。
特に会計学からの言葉ということで、財務報告周りのルール作りには、有効活用できそうだ。

善管注意義務

善管注意義務とは、委任契約の受任者が「善良なる管理者の注意をもって委任事務を行う義務」のことをいいます。

会社経営の委任を受けた取締役という地位にある人は、経営の専門家として「通常期待されるレベルの注意」を払わなければなりません。

これは初めて知った。
取締役の責任の重さを感じた。
これだけのリスクを背負っているのならば、たくさんの報酬を貰うのも納得できるように思えた。
義務を怠ると裁判で有罪判決になったりするわけなので、一歩間違えればホリエモンのように刑務所に入ることになってしまうのだから。

ここで気になるのは、「通常期待されるレベル」とは?ってところなんだけど、裁判の判例主義っぽい感じになっていそうなので、新しいビジネスをやっていたり経営をしているところは手こずりそうだなと感じた。

おわりに

内部統制というものが、会社の個性をなくしてしまうのではないという懸念に関していえば、正直拭いきれない印象だ。
会社の個性を保ちつつ、法律に沿った内部統制も効かていくというのは、なかなかのクリエイティビティを求められると感じたので。

上記に挙げた他にも色々細かいロジックがたくさん書かれていたが、会話形式というフォーマットのおかげか、とてもわかり易く書かれていた。
僕にとって、内部統制というものの全体像をぼんやりと頭の中でイメージを作れたことが大きかった。

内部統制について、僕のように全く知識がない人にとって、とても有意義な本だと思う。